ワイン初心者講座

今、そこにあるワインをおいしく飲むために

　ワインをセレクトするためには多くの知識と経験が必要になります。自分の好みのワインを買ってくるというのは意外に難しい物です。なのでここでは考え方を変えて、せっかく買ったワインをいかにおいしく飲むかと言うことに焦点を当ててみたいと思います。

第一回　温度

最適な温度とは

　軽視されがちですが、温度はワインを飲む上で一番大切にしたい要素です。ソムリエのサービスでもそのワインを適切な温度で供出することができればそのサービスの大部分は成功と言えるほど重要な要素なのです。
裏を返せば、温度が適切でないワインはそのワインの魅力を充分に発揮できないということで、せっかく高いお金を出して買ってきたワインならば、十分に注意して温度を保っても損はありません。

　適正な温度で飲むワインはそのワインの魅力的な部分をしっかりと表現し、逆に短所となる部分を出来る限り隠してくれるのです。渋みが強すぎたり、酸っぱすぎたりと言ったこともある程度調節することが出来ます。

　ですが、この最適な温度と言うのはワインによって異なります。すっきりしたワインとふくよかなワインでは最適な温度が違うのです。では、一般的にどのくらいの温度で飲めばいいとされているのでしょうか？
以下に表を示します。

４		６		８		１０		１２		１４		１６		１８		２０
泡
甘口白						軽い赤				ブルゴーニュ赤
		辛口白				上質な白						ボルドー赤
		ロゼ								ニューワールド赤

　表を見てみると、一番高いところでも１８度だということがわかると思います。よく赤ワインは室温でと言われますが、室内でそのまま置いてあるワインはぬるいと言うことになります。実はこの室温という言葉は中世ヨーロッパでの話で、日本にはそのまま当てはまらないのです。
ボージョレ・ヌーヴォーなどは軽い赤に属しますので、冷蔵庫から出して飲んでもいいくらいの温度です。

もちろんこれは一例でここから自分の好みにそって上げ下げしてもよいでしょう。
温度下げると

• フレッシュな印象になる
• 果実香などが際立つ
• 苦み、渋みが強く感じられる

温度上げると

• 香りが広がる
• 複雑性が高まる
• 甘みが強くなる
• 繊細な印象が薄れる

といった具合になります。

　とは言っても、目の前のワインがはたして軽いのか重いのかわからないと言った場合もあると思います。そんな時はアルコール度数を目安にすることも出来ます。
　ワインに取ってアルコール度数と言うのはふくよかさを表す指標でもあります。１２度くらいを中心に、アルコール度数が１３度以上と高ければふくよかなワインですから温度も高めに、１１度以下となるとすっきりとしたワインとなりますから温度も低めと言った具合です。

　自分としては口に含んで少し冷たいなという温度が一番おいしいと思いますのでそこに合わせるようにしています。ぬるいと思ったらそれは温度が高いです。
　気軽なバーなどでワインを頼むとニューワールドの濃いワインが室温で出され、おもわずむせ返ることがあります。そんな時は自分の場合氷を少しいれてもらうことがあります。ワインに氷を入れるなんてと思われるかもしれませんが、それほど温度が味に与える影響は大きいのです。

温度を合わせるためのコツ

　そのワインに適正な温度を合わせるとワインが引き立つことがわかったとしても、具体的にどのような方法あわせれば良いのでしょうか。
シャンパーニュなどのスパークリングはそのまま冷蔵庫で、白やロゼも冷蔵庫でいいでしょう。
　ワインクーラーがあれば氷水で冷やすのもいいですが、食事中に冷やしているとつい忘れて冷え過ぎになってしまうことがあるので注意が必要です。ですが、少し冷やしすぎでもしばらくすれば温度は上がってきますから、冷たいことに関してはあまり神経質にならないでもいいでしょう。

ですが赤ワインは冷蔵庫（５度前後）では低い、室温ではぬるいということになりなかなか難しく感じられます。

　当然ですがそのままの状態では温度を上げることはできますが冷やすことが出来ません、なので少々乱暴ですが一度冷やしてから上げるというやり方が楽です。まずは冷蔵庫に入れてしまうのが手っ取り早いでしょう、涼しい季節なら外に出してしまうとかもありだと思います。

　ワインセラーがあるなら、赤ワインをすぐにちゃんとした温度で楽しむことが出来ます。そう言う意味でもワインセラーはワイン好きな人間に取っては便利な物であると言えます。


　いつも目の前にあるワインをそのまま飲むのではなくて、一回温度を冷やして飲んでみてはいかがでしょう？きっとそのワインの新たな一面が見られると思いますよ。

第一回はここで終了です。次回はグラスについて書いてみたいと思います。